さへずり草紙NEO

旧はてなダイアリーを引き継いでいます。

2004-06-01から1ヶ月間の記事一覧

続藤牧

昨日に続き藤牧義夫の作品を眺めていて、「出をまつ」という作品が「エノケン一座をめぐる版画展」(1934年)で発表されたことを知りました。この作品は文字通り舞台の袖で出番の頃合を計っている女優を後姿から捉えた版画ですが、版画展の情報から舞台は浅草…

☆お侍の話☆時代小説「江戸を擦る」

第一回「掻右衞門登場」 仙気病みの様な顔をした赤ん坊が、精妙な仕掛けで腰を振って念仏踊を踊る「気病み」という人形が流行った頃というから、落首にも歌われた田沼様の時代よりは前に違いない。そのころ、日本橋の大問屋通りから一寸脇に入った長屋には、…

北朝鮮に於ける「一休さん」放映の裏事情

これは北朝鮮で放映されている「一休さん」の詳細なレポートである。現地でのタイトルは「偉大な首領様と有能なしもべの小坊主」といい、一休という"休息"を意味する名称は民衆の勤労意欲を削ぎ怠惰を招くという危惧からであろうか、小坊主と言い換えられて…

「奥様と學術映畫」 白金台尋常中学校二年 窓野雪夫

昨日は学校の帰りに武蔵野*1に寄り道をして、或る処で面白いフヰルムを借りてお屋敷に帰宅しました。漸く薄暮どきになつてお屋敷に着くと、奥様はいつもより僕の帰りが遅いので、背丈より高い御影石の門柱の隣りに作りつけてある警官詰め所から飛び出して 「…

長い長い物語

「奥様の悪戯」

最近はいつも奥様の階上にお上がりになる足音が聴こへると直ぐに逃げられるやうに及び腰になつて過ごしてゐるのですが、先日、二階のサンルームで日向ぼつこをしてゐましたら、奥様が何の予兆もなくいきなり僕の首をやはらかい白い腕で締上げられたので、吃…

夏日

名店訪問記「御漆壺倶楽部」

御漆壺倶楽部は、その荘厳な名に相応しく高級官僚や元華族、ときによってはやんごとなき高貴な方々の饗応をする為に創られた風俗店である。おしっこくらぶと読む。下々の人間は窺い知ることすら叶わない雲の上の世界である。 ここで彼らは「御物」(オブツと…