さへずり草紙NEO

旧はてなダイアリーを引き継いでいます。

2004-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「越智君に謝りたい事」白金台尋常中学校二年 窓野雪夫

この間、学友の越智君と遊ぶ約束をしたので、一旦帰宅して鞄を室に置き、奥様に「越智ん家で遊んで参ります」と断はつて玄関を出やうとしましたら、奥様が絞めかけのにはとりを放つてあはてゝ 「お待ちなさい」 とお呼び止めになりました。声の調子がをかし…

科學冒險讀物 「遙かなるボルチオ探險④」

船を降りて湿潤南洋随一の大都市オサネーに着いた吾輩はトリスと涙の別れをしたあと、探検の報を聞きつけて群がつた新聞記者や野次馬のクラミジア人に色々煩い事を聞かれるのにもうんざりして、早々に取材を切り上げて領事館に向かつた。船客の話によれば此…

ちょうどいいところに

id:ayakomiyamotoさん、id:kanoseさん経由のふりがな添付サイトが私を待っていてくれました。若干おかしな箇所も出てきますが、それは書き手に問題があるということで。たくさん笑わせていただきました。 http://www.hiragana.jp/ そういえば、入力した文章…

新釈日本語辞典 

ハ行 〔ハマ〜ハモ〕はま-えんどう【嵌豌豆】 嵌める箇所に実る豆科の植物。嵌められる側の経験に従って白豆、黒豆、ソラ豆など成熟の度合いが異なる。 はま-かぜ【嵌風】 嵌めたとき密封された空気が抽送を繰り返すなかで粘抽な愛液を破ってブブウ、プウと…

科學冒險讀物 「遙かなるボルチオ探險③」

アウラルからボルチオまでシャセイ航空を使へばひと飛びだといふ事は重々承知してゐたが、てくてくと歩いて往く処に旅行の醍醐味がある、また秘境探検には危険をも顧みぬ勇気と根気が必要であると観念して斯様に苦労を重ねてゐるものゝ、対岸が見へぬほど幅…

科學冒險讀物「遙かなるボルチオ探險②」

アウラルを発った吾輩は足許の取られさうなやはやはした裸山を登つた。裸山の頂上には、一見した処故郷の円形天体観測所か或いは蒙古の放浪民が拵へる天幕のやうな形の不思議な碑があり、吾輩は異常な興味をそゝられて一歩ずつ慎重に足を進めた。いぼいぼし…

「奥様と巴里祭」白金台尋常中学校二年 窓野雪夫

いつものやうに学校から帰りますと、お屋敷の庭といゝ車廻しといゝスパニッシュ様式の母屋をいやがうへにも彩るやうに軍艦旗や萬国旗が飾り立てゝあるので、内心浮き浮きし乍らも仰天して玄関に駆け込みますと、今しもお外に出やうとしてゐた奥さまにぶつか…

科學冒險讀物「遙かなるボルチオ探險」1

護謨引きの帽子を持つて振り分け荷物も勇ましく、吾輩は微風なびく南国の地ボルチオ目指して出発した。幾山谷を這ふやうにして歩めば湿潤の気候も肌に心地よく、サイレンの歌声に誘はれて愉快な旅はすゝめられた。 どれだけ行つた頃であらうか。吾輩は大きな…

おつむパーの日

ハテナ百物語「小鳥の綿毛」

id:ayakomiyamotoさんからバトンを頂戴したハテナ百物語です。はじめは桃色奇譚の積もりだったんですが、実話入っている方が面白そうだったので方向転換。洒落にならない半分実話です。 「小鳥の綿毛」 ごく最近の話なんですが。 去年七月以前、住んでいたマ…