さへずり草紙NEO

旧はてなダイアリーを引き継いでいます。

2005-01-01から1年間の記事一覧

奥様の七夕

七夕様の銀座ライオンで繰り広げられた目くるめく奥様のパアテイーも、モウ半年も前のことになります。僕は其の折り、主賓の秋良楠男さんからパアテイーの様子を詳述するやう慫慂されたのですが、危うく学校の試験をいけなくしさうな夏秋を過しましたので、…

雪夫弐号之句: 音楽を 赤面しては 目くるめく

フィクションです。

「開戦前夜 第二部 "突入セヨ"」

「挿入セヨ!」 笛がピリリリリと鳴った。 「ゆけえええ!!」 大隊長の雄叫びで俺たちは鬨の声を一斉に挙げ、尿道を軍靴でどどどどど、と蹴りあげて力一杯駆けた。手首に嵌めているミニモニターには、お先走り部隊が決死の覚悟で撮影している女体の突入口が…

「開戦前夜 第一部の下」

かなり前に少しだけご紹介したまま、続きを載せるのを忘れていました。一、二年前に、しかも友人のために書いたものなので内輪にしか通じないところもありますが、恥を怖れず開陳します。冒頭部分はリンクを辿ってご覧下さい。 「策略」 一応型通りの敬礼を…

「奥様の黒魔術」白金台中学校二年 窓野雪夫

最近になつて奥様と僕はお互いに好きあつてゐることが薄ぼんやりと判つてまゐりましたので、なんとかセツクスをしやうとお屋敷の中を彷徨つたり、大森や新宿辺りの砂風呂旅館をウロウロしたり、浅草の人外魔境を徘徊しました。しかし、いつも挿入の直前にな…

そろそろ4万記念が近づいてゐます。

「奥様の熱愛」白金台中学校二年 窓野雪夫

「まあゝ。マドレーヌが死んだのね」 朝食のテエブルで奥様が焼きあがつたばかりのブレツドに無花果のコンフイチユールをたつぷり塗りつけて頬張りながら、詰まらなさゝうに新聞を放り出しました。 「お風呂でモルヒネ中毒で死んださうよ。馬鹿ねえ。」 僕は…

「奥様の吃驚パーテイー」白金台中学校二年 窓野雪夫

二ヶ月ぶりに帰つたお屋敷のたゝづまひは、壁がくすんで寂しさうでした。僕の書斎の部屋を見上げると、其の窓は別珍のカアテンで分厚く閉ざされてゐました。この静物の風景で、車寄せの中央にある噴水から涼しく舞ふ水だけが、動ゐてゐました。 僕は電鈴を押…

「奥様とお見舞ひ」 白金台中学校(休学中) 窓野雪夫

散々な観艦式のあと東京に戻つた僕は何日もお屋敷でボーとうつけのやうに過ごしてゐたので、奥様が心配して武蔵野病院に入院できるやう、僕の知らないうちに手配をして下さいました。さうして突然なんの用捨てもなく、僕の書斎に屈強な男が二人現われました…

「奥様と観艦式」白金台中学校二年(休学中)窓野雪夫

瑠智さんと京都で遊んだ次の日は、神戸港へ海軍特別大演習観艦式を見物に参りました。奥様は無類の海軍フアンで、「わたくし若し男だつたら海軍士官になりたいわ」と常々仰つてゐるので、関西旅行の目的のひとつはこの観艦式だつたのです。僕は音楽会で知り…

「奥様の関西旅行」白金台中学校二年 窓野雪夫

奥様のお友達が京都にゐらつしやるので、久しぶりに会ひに行かれる奥様に引つ付ゐて、僕も学校の冬期休暇を利用してご一緒することになりました。僕は奥様の計らひで、銀座の紳士服仕立て屋で、初めて外出用のスーツを拵へて頂きました。 「マアすつかり紳士…

「奥様の浅草探検」白金台中学校二年 窓野雪夫

お正月に奥様が酔つ払つてお土産にくださつた明日待子の立看板を部屋に立てゝ毎日眺めてゐましたら、彼女が出演してゐる新宿のムーランルーヂユに猛烈に行きたくなりました。そこで学校の先生などに見つからないやうに下男から使ひ走りの丁稚の服を貸して貰…

「奥様のオフヱリヤ殺し」 白金台中学校二年 窓野雪夫

前の夜の雪が庭園のヒマラヤ杉からザザーと滑り落ちる音を聴きながら、雛鳥のパテーと窯から出たばかりの香ばしいブレツドと目玉焼きとオレンヂの実で頂く英国風の朝食は如何にも冬のお屋敷の風物らしく、僕は好きです。それで奥様にお早うを云つて珈琲と朝…

腹を立てながら書ゐたものがこれ。

「奥様の新年」白金台中学校二年 窓野雪夫

お屋敷の広い庭が見渡すかぎり白銀の雪景色になると、毎年、下男の蓑吉が雪達磨で裸婦像を器用に拵へて庭園に林立させます。なんでも蓑吉は若いころ東京美術学校で高村光雲の授業を受けたとかで、ミロのヴヰナスや阿部定の全身をそれは美しく雪から削り上げ…