さへずり草紙NEO

旧はてなダイアリーを引き継いでいます。

2004-09-01から1ヶ月間の記事一覧

私的翻訳

「歐洲に於ける浮世繪受容史」 マイステル・ベテイオーネ教授 Prof.Meister Batione(伯林大學東洋美術) 十九世紀の末頃に至る迄、極く一部の例外を除ゐて、歐洲の美術繪畫に於ける催淫的効果は左程注視されなかったか、或いは意識的に忌避されてきた。之は歐…

「奥様と大尉」窓野雪夫(休学中)

あまり夏の間にお姉さんたちにいぢりまはされてゐたので下腹が痛くなり、学校を休んで病院に参りました。お医者様は僕の体を仔細に診て下さり、看護婦さんの前で検尿の入つたコツプを振りながら「ずゐぶん蛋白が出てゐるやうだが近ごろ何か重労働でもしたか…

告知

栄枯盛衰人の世の彼れ此れは龍田川に似て淫水の夥しき房中にこそ歓ありとは鎌倉時代の仏僧轟観和尚が残した名言であります。猥声嫋嫋と秋空に渡り和を以て達すると為さん。id:cameracameraさんも雪夫さんを苛めたいと仰っていたので、思い出して慌ててやっつ…

「アルバイトの日」白金台中学校二年生 窓野雪夫

夏休みが済んでも僕は暫くお医者様にかゝつて学校を休んでゐたのですが、あんまり休むと留年して高等学校に行けなくなるので、奥様が惜しさうにするのも構はず学校に通ひ始めました。教室では皆、僕の顔を見ると憐れさうな表情をしたり目を反らしたりするの…

「叱られた日」白金台中学校二年 窓野雪夫

晩餐の折り、ソップを口許に運びかけた奥様が匙を空で止められ、 「雪夫さん、」 と眉を寄せて困惑した表情でお訊ねになりました。それで口の中のカツレツの切れを嚥下してあはてゝ「ハイ」と返辞を致しますと、奥様は、 「雪夫さん物知りでゐられるから一寸…

「八ヶ岳の思ひ出」白金台中学校(休学中)窓野雪夫

学校の夏期休暇も終はりに近くなつて、奥様が「いろいろ大変だつたから」と仰つて僕を旅行に連れて行つて下さいました。奥様のお友達が長野県にゐて色々詳しいといふ事なので、奥様が自らルノオ三十四年型を駆つて温泉と牧場を目指しました。 僕は奥様がハン…

「八重子さん登場」白金台中学校二年 窓野雪夫

夏季休暇になつて学校がお休みなのですが、お屋敷の中でうつかりブラブラしてゐると奥様に捕まつてヱライ目に会はされますので、僕は毎日のやうに図書館へ行つたり友達の家へ遊びに行つて難を逃れてゐました。先日も奥様が朝寝からお目覚めになる前に身支度…

id:tubakiyayoiさんのキリ番記念です。ちょっと長くなりました。